
⸻
プロローグ:リオンとクリンのはじまり
むかしむかし。 インディアンの村の奥深くに、神さまの森と呼ばれる場所がありました。 そこは村の人たちがめったに近づかない、静かで不思議な森です。
ある満月のよる。 ひとりの若者が、神さまへのおくりものをそっと森の入り口に置こうとやってきました。 すると森の奥の方から、ゆらゆらとあたたかい光が見えたのです。
「なんだろう……」 光にみちびかれるように進んでいくと、そこにはびっくりする光景が広がっていました。
小さな広場のまんなかに、一人の赤ちゃんがやさしい光につつまれて眠っていたのです。
そのまわりでは、オオカミも、しかも、わしも、小さなねずみまで——みんな仲よく静かにすわって、その赤ちゃんを見守っていました。
まるで森じゅうの生きものが、その子を祝福しているようでした。
若者はそっと赤ちゃんをだき上げました。 すると森のどうぶつたちは、しずかに立ち上がり、夜の奥へと帰っていきました。
……ただ、一匹だけ残った子がいました。 それはまだ小さなアライグマ。 まんまるの目で赤ちゃんを見つめ、ちょこんと若者の足もとに寄りそいました。
「この子も一緒に行きたいのだな……」 若者はそうつぶやき、赤ちゃんとアライグマをいっしょに村へ連れて帰りました。
村の人たちは、この不思議なできごとに深いよろこびとおそれを感じました。 そして長老が祈りをささげ、赤ちゃんに「リオン」という名前を授けたのです。
こうして——
神さまの子リオンと、相棒アライグマ・クリンの物語が、はじまっていくのでした。