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第七話 トリンギット族 熊の猛威

リオンがトリンギット族の村へ向かう山道を歩いていると、遠くから悲鳴が聞こえた。

商人「助けてくれー!」

リオン「どうしたんですか!」 リオンが駆け寄ると、ひとりの男が振り向きざま舌打ちをし、森へ走り去った。 商人「お金と荷を奪われるところでした…」

リオン「ケガはありませんか? 村まで一緒に行きましょう」

商人「ありがとうございます」

リオンとクリンは商人を守りながら、村へ急いだ。

村では、ちょうど収穫祭の準備が進んでいた。 村長「遅かったのう。祭のご馳走に使う食材を待っておったのじゃ」

商人「それが、道中で山賊に襲われまして……」 村長「なに? 山賊だと!」

(しばし黙考)

「……そやつ、頬に大きな傷がなかったか?」

商人「はい、たしかに目立つ傷が」

村長は深くうなずき、低い声で言った。

村長「そいつはビリー。――わしの息子じゃ」

クリン「ええっ、あの男が?」

村長「ああ……」

村長は語りはじめた。

若き日のビリーは、ある冬の日、村に現れた神の使いとされるオオカミを倒してしまった。 部族には「オオカミを殺した者は追放する」という古い掟がある。 その戦いで頬に大きな傷を負い、ビリーは村を去り、 やがて山で暮らしながら時折商人を襲うと噂されるようになった――。

村長「……ともあれ、今日は収穫祭じゃ。 準備を急ごう」

リオン「僕たちも手伝います!」

太鼓の音が響き、収穫祭が始まった。 村人たちが踊り、歌い、火が揺れる。

その時――森から大きなクマが現れた。

食べ物の匂いに誘われてきたのだ。

村人「クマだー」

みんな一目散に逃げる

村長は火のついた長い棒を手に、人々をかばいながら立ちはだかる。

危険を察知したリオンは 素早く精霊に祈りを捧げる。 「バッファローの力よ、我に勇気を!」 気迫の一撃でクマを攻撃する

だがさすが生態系のトップに君臨するクマ。 びくともしない。 そして再びクマはゆっくり村長に近づき、ついに飛びかかってきた。

鋭い爪が閃く――。

リオン「危ない!」その瞬間、一本の槍が唸りをあげて飛び、クマを横切った。

クリン「なにっ?」

皆が振り向くと、そこには――ビリーが立っていた。 村人「ビリーだ!」

ビリーは叫んだ。

「父さん!」 ビリーは

倒れた村長に駆け寄り、かばうように 槍を構えてクマと対峙した。 ⸻ クマはビリーの様子を伺いながら飛びつくチャンスを狙っている。

緊張の糸が張り詰めた-その時 クマはビリーに飛びかかった。

その瞬間に村長が火のついた棒を クマに投げつけた

顔に当たったクマは後づさりし、近くの川に足を踏み入れた。

リオンはその瞬間を見逃さなかった。

「電気ウナギの精霊よ――力を貸してくれ!」

水は電気をよく通す。 川面が青白く光り、稲妻のような衝撃がクマを打った。

始めて受ける衝撃に、たまらず クマは森へと逃げ去っていった。

一瞬の静寂。 ビリーは倒れた父を抱き起こした。 村長はゆっくりと目を開け、かすかに微笑む。

村長「……戻ってきてくれたのか、ビリー」

そこへ、一人の母と娘が駆け寄った。 彼女たちは告白した。

――あの日、ビリーがオオカミを討ったのは、自分たちを救うためだった、と。 そしてこの母娘が同罪になる事を避ける為、 ビリーはこの事を誰にも話してはならないと 告げた事を 村長は息子の肩を強く抱いた。 その夜、村はビリーを再び家族として迎え入れた。

リオン「さあ、収穫祭の続きを!」

リオンが笛を吹くと、クリンが踊り出す。

村人たちも再び太鼓を打ち鳴らし、炎の周りに歓声が広がった。

のちに山賊は別人が捕まって裁きを受けた。

山賊の容疑も晴れたビリーは 村を導く立派な後継者となるのである。

リンギット族の教え

「たとえ道を違えても、 血の絆は大地より深い。 赦しと勇気が、 未来を照らす光となる。」